四年目にして……
2006年 10月 18日
大学生活を通して形成された僕の数式アレルギーは最早筋金入りと言えるような代物だったのですが*、ここ一月ほど指導教官の先生に絞られ、課題を出され続けたためか、多少軽減されつつあるようです。何だか久しぶりに数式を弄っているのが楽しくなってきました。高校時代以来のことです。
(*曲がりなりにも"物理"とつく学科にいるくせにそれはどうなんだ、という疑問はごもっともなのですが、、、)
やはり僕なんかは一人で勉強していると、精神力の弱さから『苦手意識のためにしっかり勉強できない』→『更にわからなくなる』→『苦手意識が増す』という負のスパイラルに取り込まれてしまいがちで、それを自覚していても凝り固まった苦手意識を払拭するのは容易ではなく、誰かに叱咤され強制されなければ螺旋の底から抜け出すための一歩を踏み出せない、ということだったようです。
まだまだ課題は山積みで、頑張らなければならないのはこれからなのですが、何とかスランプから脱出できたような気がします。本当に初歩的なところから付き合ってくれた指導教官の先生には感謝です。もうこの1ヵ月強の期間にかけた迷惑を考えただけでも、三年は頭が上がらない気がします。
で、珍しく物理と言うか数学っぽい話をしてみようかと思います。ややマニアックな話になってしまいますので、別窓です。というか、書き散らした感じの非常に読みにくい文章です。
地球流体力学をやってますと特定の方程式から波動を導き出してその性質を調べる、とかいうことをするのですが、そういうときって物理量ηに対して波動解として
η = H0*exp[ i (kx +ly + σt ) ]
などという形を仮定して式変形を進めることが多いのですが、
(exp(θ)はエクスポネンシャルのθ乗、 i は虚数単位、x,yは空間座標、tは時間、k,lは波数、σは振動数、H0は振幅)
まあ、最後には実部をとるんですが、式変形の間は複素数を扱うので、虚部が何を意味しているのかわからず、何だか気持ち悪かったわけです。「計算の便宜上複素数を使うだけ」ということは聞いていたのですが、その言葉の意味をしっかりと把握しておらず、周りで授業を受けている人たちは特に引っかかっている風でもないのでわかっていて当然の話なのかと思うと質問もしづらくて、色々なところでこいつを見かけるたびに喉の奥に小骨が引っかかったような感覚を覚えていたのですが、最近になって「多分こういうことなのではないか」ということがわかったのでちょっとメモをしておきます。
exp( i θ)って色々なところで出てくるし、俺の手元にある本はどれもこれもさも常識であるかのように波動解として上に描いた式もどきのようなものを持ち出してくるので、物理とか数学とかをやっている人たちにとっては初歩の初歩なのかもしれませんが、まあ恥を忍んで……
えーっと、要は
「cos(θ)、sin(θ)で微分演算をすること」
と
「exp( iθ)で微分演算をして最後に実部をとること」
が等価だ、ということなのではないかと。
つまり、
cos(kx) をxで微分すると -k sin(kx) になります。
一方
exp( i kx) をxで微分すると ik exp( i kx)になり、
これの実部を取ると、 ik * i sin(kx) = -k sin(kx) となって一致するわけです。
これはもっと複雑な微分演算に対しても当てはまります。
exp()はsin,cosよりも微分の演算が楽ですから、微分が絡んだやや複雑な式変形をする場合はどうせおなじことなのだから「exp( iθ)で微分演算をして最後に実部をとること」という方法をとったほうが計算が楽だ、ということなのでしょう。
式変形中の虚部は次に微分演算をしたときには実部になるわけで(逆も然り)、要は微分時のsin⇔cosの振動を複素数を使って表現していると言うことです。
長いこと引っかかっていたものが取れてすっとした気分です。
(*曲がりなりにも"物理"とつく学科にいるくせにそれはどうなんだ、という疑問はごもっともなのですが、、、)
やはり僕なんかは一人で勉強していると、精神力の弱さから『苦手意識のためにしっかり勉強できない』→『更にわからなくなる』→『苦手意識が増す』という負のスパイラルに取り込まれてしまいがちで、それを自覚していても凝り固まった苦手意識を払拭するのは容易ではなく、誰かに叱咤され強制されなければ螺旋の底から抜け出すための一歩を踏み出せない、ということだったようです。
まだまだ課題は山積みで、頑張らなければならないのはこれからなのですが、何とかスランプから脱出できたような気がします。本当に初歩的なところから付き合ってくれた指導教官の先生には感謝です。もうこの1ヵ月強の期間にかけた迷惑を考えただけでも、三年は頭が上がらない気がします。
で、珍しく物理と言うか数学っぽい話をしてみようかと思います。ややマニアックな話になってしまいますので、別窓です。というか、書き散らした感じの非常に読みにくい文章です。
地球流体力学をやってますと特定の方程式から波動を導き出してその性質を調べる、とかいうことをするのですが、そういうときって物理量ηに対して波動解として
η = H0*exp[ i (kx +ly + σt ) ]
などという形を仮定して式変形を進めることが多いのですが、
(exp(θ)はエクスポネンシャルのθ乗、 i は虚数単位、x,yは空間座標、tは時間、k,lは波数、σは振動数、H0は振幅)
まあ、最後には実部をとるんですが、式変形の間は複素数を扱うので、虚部が何を意味しているのかわからず、何だか気持ち悪かったわけです。「計算の便宜上複素数を使うだけ」ということは聞いていたのですが、その言葉の意味をしっかりと把握しておらず、周りで授業を受けている人たちは特に引っかかっている風でもないのでわかっていて当然の話なのかと思うと質問もしづらくて、色々なところでこいつを見かけるたびに喉の奥に小骨が引っかかったような感覚を覚えていたのですが、最近になって「多分こういうことなのではないか」ということがわかったのでちょっとメモをしておきます。
exp( i θ)って色々なところで出てくるし、俺の手元にある本はどれもこれもさも常識であるかのように波動解として上に描いた式もどきのようなものを持ち出してくるので、物理とか数学とかをやっている人たちにとっては初歩の初歩なのかもしれませんが、まあ恥を忍んで……
えーっと、要は
「cos(θ)、sin(θ)で微分演算をすること」
と
「exp( iθ)で微分演算をして最後に実部をとること」
が等価だ、ということなのではないかと。
つまり、
cos(kx) をxで微分すると -k sin(kx) になります。
一方
exp( i kx) をxで微分すると ik exp( i kx)になり、
これの実部を取ると、 ik * i sin(kx) = -k sin(kx) となって一致するわけです。
これはもっと複雑な微分演算に対しても当てはまります。
exp()はsin,cosよりも微分の演算が楽ですから、微分が絡んだやや複雑な式変形をする場合はどうせおなじことなのだから「exp( iθ)で微分演算をして最後に実部をとること」という方法をとったほうが計算が楽だ、ということなのでしょう。
式変形中の虚部は次に微分演算をしたときには実部になるわけで(逆も然り)、要は微分時のsin⇔cosの振動を複素数を使って表現していると言うことです。
長いこと引っかかっていたものが取れてすっとした気分です。
by jinkakei
| 2006-10-18 21:58
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